コロナ禍の感染防止策としてオフィスや店舗(飲食店)で活用されたアクリル製の飛沫防止パネル。2020年3月の政府からの通達により一斉に普及が広がり、一時期は透明アクリル不足となり他の製品が作れない状況に。しかし飛沫防止パネル設置により安心感を得たことは間違いありません。弊社オフィス内でも、会議室・執務室・食堂などに多くの飛沫防止パネルが導入され大活躍でした。

しかし2023年5月8日から新型コロナウイルス感染症分類が5類に移行した事により、マスク着用の義務もなくなり、不要となった飛沫防止パネルは活躍の場を失ってオフィスの片隅に集められている現状・・・

今回はそんなアクリル製の飛沫防止パネルを、アップサイクルし再活用するための製作工程のお話です。

 


 

再資源化を考える

お役御免となってしまったアクリル製の飛沫防止パネル。これを日本全国の企業が産業廃棄物として捨てた場合、途方もない重量のアクリルが塵として処分される事となります。

環境省が2023年4月28日に発表した「不要になった新型コロナウイルス感染症対策の備品等(パーティション等)について」では、プラスチック使用製品廃棄物等の排出の抑制や、再資源化(リサイクル)を実施可能なものについては「再資源化を実施すること」等が求められています。

環境省「不要になった新型コロナウイルス感染症対策の備品等(パーティション等)について」https://www.env.go.jp/recycle/waste/infect_contr.html

私たちはこの現状を受け、何か活用出来る方法がないかと考え、アップサイクルし再活用する手段を模索しました。

 

 

アクリル製飛沫防止パネル|アップサイクルの工程

まずはお客様より回収した飛沫防止パネルを洗浄します。 割れたりヒビが入っているものでも大丈夫!

 

これらをランダムにカットして粉砕機に投入

 

5mm程度の粒状になるまで細かく粉砕します

 

粒の大きさを揃えることがポイントです

 

粉砕したアクリルを型に合わせて板状に配置します。熟練された技術と、仕上がりまで見越した絶妙な調整が必要です。

 

炉に入れ高温度でゆっくり熱をかけ固めていきます。温度が下がらない様に一度スタートしたら仕上がりまでは暫く我慢…(陶芸家の気持ちがよくわかります)

 

数時間後仕上がった再生アクリル板を炉から取り出します

 

高圧プレスでさらに数時間プレスを行います

 

板状になりました!仕上がりは「型板ガラス風」です

 

カラーを混ぜ込んだアクリル板は少しアート風な仕上がりに。混ぜるカラーや分量で様々な表情になります。

 

用途に合わせたサイズにカットを行い、柔らかめの布で念入りにバフ(研磨)をかけたら、再生アクリル板の完成です!

 

今回は色々なカラーのアクリル板を作ってみました

 

様々な製品に加工できる再生アクリル板

生まれ変わった再生アクリル板は、様々な製品として加工が可能です。
今回はスチールフレーム(スチールも再生可能!)とアッセンブリーし、アクリル特性の透過性を兼ね備えた「間仕切りパーテーション」を製作しました。

飛沫防止パネル10枚で間仕切り間仕切りパーテーション1台の製作が可能です

その他にも、店舗で使用するスツールやライザー・サイン・BOXなど、用途に合わせた開発を行っております。

 


廃材に「新しい命」を吹き込む

長年使用した飛沫防止パネルもこの様な型にすれば話題性溢れる商品に生まれ変わります。パールイデアとして今回のアクリルをはじめ、古着・過剰繊維や木製品の製造過程で大量に廃棄されるおが粉など、様々な廃材を大切な資源として再利用し「新しい命を吹き込む」研究&開発を行っております。

SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」では、持続可能な生産消費形態を確保し資源の枯渇を防ぐ事を目的としています。この目標達成に向かって、私たちと一緒に取り組んでみませんか?