私たちは、1998年に環境配慮のPETボディ「ECOX(エコックス)」を発売して以来、30年以上前からエコ商品の開発に取り組んできました。今では「ECOX」という商品名を、環境に配慮したシリーズの総称とし商品開発に取り組んでいます。
今回はその取り組みのひとつである「紙マネキン」をご紹介します。
紙マネキン発表までの取り組み
さかのぼること6年前。ベトナムに工場を構えるパートナー企業の 株式会社 一千乃 様 (以下、ICHINO 様) のご協力の元、私たちは EuroShop 2017 に紙で出来たマネキンを初めて展示しました。
その後も ICHINO 様 とタッグを組み、オリジナルの紙ボディなどの試作を繰り返しており、今年2023年の EuroShop 2023 には ICHINO 様 がブース出展され、紙マネキンを発表。紙製のマネキンは非常に珍しく、とても注目を集めました。
そして、こちらの商品の代理店をパールイデアが務めることになりました。今回はすでにご存じの方も、そうでない方にもご興味を持っていただけるよう、いつもよりも踏み込んだ情報をお伝えしていきます!
よく見ると全然違う!生産方法が全く異なる 2つの 紙マネキン
今回ご紹介する紙マネキンは2つです。それぞれ異なる製法でつくられており、マネキンをよく見ると仕上がりも大きく異なり、全く別の商品です。
① ハンドメイドの和紙手張りマネキン
和紙と天然糊のみを使用し、職人が手作業で紙を貼り重ねることで仕上げます。指先まで細かな部分も成型することができ、その精巧さには驚愕です。触り心地も見た目も、これまでにはない和紙ならではの上品さを感じることができます。
通常のマネキンは型を用いて製作しますが、こちらは紙を重ね貼りして製作するため、FRPマネキンさえ1体あれば増産が可能です。ただし手作業で1体1体製作するため時間が非常にかかり、1日2体ほどしか生産できません。そのためどうしても1体当たりの費用は高くなってしまいます。
② 機械を用いて生産するパルプモールド成型マネキン
パルプモールド製法と呼ばれる機械を用いてつくられる紙マネキンです。古紙(紙の切れ端)を水に溶かして液状にしたものが原料となります。細かな穴の開いた専用の型を作り、型を材料のプールに沈め、バキューム機で水分を飛ばすと腕や体のカタチが出来上がり。型から外し、形を整え、自然乾燥で完成です。
特徴としては、余ったアパレル繊維を素材としており、それを細かく砕いたものを10~20%マネキンに混ぜ込むことが可能。混ぜ込む繊維によってマネキンの表情が変わるので、毎回仕上がりが楽しみです。
こちらは機械を用いるので大量生産向きですが、雌型の専用の型代が必要ですので、別注のポーズをご希望の場合、初期投資がそれなりに発生します。また、細かな表現が苦手で手先はミトン型となってしまいます。
紙製マネキンの魅力ってなんだろう
今回ご紹介した紙マネキンは、FRPの代用として紙を使用することで、多くのメリットが得られます。
1. なにより軽さが魅力です
とっても軽いです。約4キロと片手で軽々と持てる重さで、マネキンを移動する際や、高い場所にディスプレイする際も楽々です。
2. 廃棄の際の問題が解決されます
紙製なので、リサイクル可能な商品です(布を混ぜた商品を除く)。また、マネキンを土に埋めるとバクテリアによって土中分解されるという実験結果も出ています。
3. 軽いのでジョイント部分にマグネットを採用できます
着せ替えの際に腕がパチッとはまるので、着せ替えが楽々です。
また、金属パーツとマグネットパーツは外側から取り外しができるため、リサイクル部品とリユース部品に簡単に分けることが出来るようにこだわって設計されています。
脱 FRP!マネキンの未来
現在マネキンのほとんどが、車のバンパー等で使用されている FRP という素材でつくられています。FRPは強度面と加工のしやすさに優れており、長い期間修理を繰り返して使用するマネキンにとって最適な素材とされてきました。
しかし昨今では、不要になった際にリサイクルが難しい点や、生産時における人体への負荷が問題視されています。そうして様々な素材が急ピッチで研究されており、未だ夢の新素材は見つかっていませんが、日々様々な素材のテストを続けています。
紙でつくるマネキンはそのなかの可能性のひとつ。人と地球にやさしいマネキンの研究を今後も続けていきます!
マネキンプロデューサー。自社のオリジナルマネキンの開発と、クライアントのオーダーマネキンの企画開発リーダーを担当。皆さまに最適なマネキンをご提案させて頂きます!