岐阜県生まれの企業であるパールイデアは「飛騨広葉樹のまちづくり」プロジェクトに参画し、空間づくりにおける「広葉樹」の活用を進めています。
飛騨市との関わりから、昨年の展示会出展や今後の商品開発に至る取り組みをご紹介します。
「飛騨市広葉樹のまちづくり」とは?
飛騨市が2014年から取り組んでいる「広葉樹のまちづくり」。薪かチップにしか加工できないと思われていた広葉樹の価値を高め、日本の林業界に革命を起こすプロジェクトです。
日本全国でも屈指の森林面積を誇り「針葉樹」に比べ「広葉樹」の割合が高い飛騨市・・・目指すは広葉樹の新たな活用方法を生み出し、そこから生まれた利益が森林に還元される持続可能な仕組みをつくること。岐阜県企業のつながりから、今回のプロジェクト参画となりました。
森林率が高く、木材を中心とした「ものづくり」の盛んな岐阜県
業界で30年以上企画を行い、様々な素材を使用してものづくりをしてきました。什器や家具をデザインするにあたり天然木材を使う場合は通常、スギやヒノキといった「針葉樹」が主で、これは安定供給が可能であり尚且つ幅・厚み・長さなどの選択肢も豊富だからです。しかし今回「飛騨の広葉樹」というキーワードを耳にし、ブナ・桜・クリ・カエデ・ホウノキなど種類は何となく認識はあったものの、どのように企画に活かせるのかが全く未知数。そんな状態でのプロジェクト開始となりました。
プロダクト開発をする上では、どんなストーリーで「ものづくり」を行うかが最初のミッションです。
本社所在地である岐阜県は、昔から「ものづくり」が盛んな地域。美濃焼(陶器)・美濃和紙(紙)・関の刃物(鉄)・飛騨の一位一刀彫(木)等、様々な素材を活かした「ものづくり」が根付いた立地となります。そんな中でも山に囲まれた同県は、高知県に次ぎ森林率81.2%と全国2位で、木工加工品に関しても大手家具メーカーが多く存在する、木材に関しては特に馴染み深い地域です。しかし一般的に活用されるのは針葉樹の家具が多く、広葉樹はチップとしての利用が殆どである現状を知りました。
商品化第1弾はフレキシブルな組み合わせで空間づくりができる「木単管」
飛騨広葉樹プロジェクト第1弾として、まずは売場や店舗で使える什器へどのように活用できるのかを考えました。それは、広葉樹と他の環境配慮素材をミックスさせ、繋ぎ合わせが可能な「木単管シリーズ」です。
種類の違う広葉樹を接合し、節や傷等もそのまま残した状態で丸棒に加工。必要な大きさに合わせてエクステンションも可能な什器です。
広葉樹無垢板を製材した状態(曲がったままの節のある)で肌感や自然の力強さを前面に打ち出した棚板も、昨年の展示会でお披露目しました。小物や雑貨との相性も良く、展示会やPOP UP SHOPなどでの活用を想定しています。
今後は、広葉樹を活かした壁材や、乾燥させた天然広葉樹の枝とサステナブル素材のフェイクグリーンを組み合わせた観葉植物など、新たな開発を進めていく予定です。
広葉樹の可能性を引き出し、持続可能な循環型社会の実現へ
曲がりや節・・・様々な木目や色・・・多様性の塊のような素材「広葉樹」を使用し、様々なアイテムにアップデートさせることは、とても興味深くワクワクします。 工業製品化された素材ではなく、あえて自然の広葉樹をアップサイクルし使用することは、大量生産・大量廃棄が問題視されている現在、私たちの新たなミッションと考えております。
「飛騨広葉樹のまちづくり」に参加し、広葉樹の森を伐採することで、素材としての利用と、次世代の森への循環とを両立させることを目指しています。「利用と更新・循環」をテーマに新たな商品を開発していきたいです。
トップアートディレクター。いつまでも好奇心=ワクワクを大切にし、プランニングに反映する。店舗環境にデジタルを+(プラス)していく開発リーダー 兼 オフィスファニチャー開発リーダー。主に映画からヒラメキを得ています。