1通のメールからスタートした学生×パールイデア座談会企画。【part1】【part2】では明治大学 経営学部 大石ゼミナールの2年生4名と 「リテールテイメント」「OMO」について語り合いました。

 

熱い議論を重ねた末に見えた、リテールテイメントの未来とは…?

座談会メンバーは引き続きこちらの7名。明治大学 経済学部 大石ゼミナールの学生4名と、パールイデアより後藤・桂川・廣瀬…とパーリィも参加しました。

リテールテイメント成功の鍵はターゲットを絞ること

廣瀬 長い時代を見据えると、みなさんのような「ジェネレーションZ世代」はSNSで個人と個人が繋がる仕組みを作ってきた世代って言われてて、でも実際の購買は80%実店舗で購入するらしいんですけど…実際そうなんですかね?

(学生全員) はい!

廣瀬 …と同時にウェブルーミングに抵抗がない。オンラインで探して、実際店に見に行って触って、買おうかやめようかっていうのを決めてる。

学生A その通りです!最近引っ越したんですけど、家電を買うときにWEBで見て商品を選んでから、実際店舗へ行って買いました!

廣瀬 おー!まさしくジェネレーションZ世代ですね!

桂川 僕らは「ミレニアル世代」ですけどね(笑)

ジェネレーションZ世代
アメリカ合衆国などにおいて概ね1990年代中盤(または2000年代序盤)以降に生まれた世代のことである。生まれた時点でインターネットが利用可能であったという意味で、真のデジタルネイティブ世代としては最初の世代となる。デジタル機器やインターネットが生まれた時から当たり前のように存在し、Webを日常風景の一部として感じ取り、利用している世代である。

「引用」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より。 2020年4月12日 (日) 11:53 UTC

ミレニアル世代(ジェネレーションY世代)
アメリカ合衆国などにおいて1980年代序盤から1990年代中盤(または2000年代序盤)までに生まれた世代のことである。インターネット普及前の時代に生まれた最後の世代で、幼少期から青年期にIT革命を経験したデジタルネイティブの最初の世代でもある。

「引用」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より。 2020年4月15日 (水) 12:31 UTC

廣瀬 これからOMOを推進するときに、10代からシニア世代まで全世代を網羅する方法を考えるとなかなか難しくて…ジェネレーションZに特化して考えると、もしかしたら活路が見いだせるんじゃないかな?やっぱりインターネットやスマホに抵抗がないと思うんで。

学生A ミレニアル世代とジェネレーションZ世代は体験することに対して抵抗がない。小売店舗はどんどん閉鎖していくけど、実際に店舗へ足を運ぶ人は増えてるというデータを見たことがあります。なので私たちもその世代に注目した方がいいんじゃないかって話を皆でしていました。

後藤 じゃあターゲットを絞って推進していけば普及は早いんじゃないか、と。

学生C その世代が消費はモノじゃなくてコトにお金を使うので、リテールテイメントと相性がいいんだと思います。

学生A 実際に足を運んでSNSとかで広める文化もある。いい体験をしたら誰かに教えたくなるんです!

弊社ACTIVE STOREを体験中のみなさん。「すごい!これみんなに教えたい!」の一言を頂戴しました

OMOが普及してもリアルな価値は必要

学生A  OMOによって対人サービスなどリアルな価値は今後どうなると思いますか?

後藤 僕はリアルな価値はあると考えています。例えば無人店舗の amazon go へ行って、専用アプリを使って入店すれば無人で商品が買える。ただ、そこに人がいなかったかというと、結局人はいたんですよ。入口にウェルカムのサポーターみたいな人がいて、

桂川 僕、サポートされました!店に入れなくて(笑)

後藤 だから、こういうトラブルで入れない人がいたら、誰もいなかったら、何も出来ないですよね。今まではレジスタッフとかの人員にお金をかけてたのが、対人サービスにより注力できるようになったという事で、リアル店舗の価値を上げているなと思いました。だからOMOが進むことによってそういった効果もある。省人化でただ人を減らすだけではなくて、サービスの価値を上げようという事ですよね。

廣瀬 店員さんに訊くって事は、その専門家に相談できるって事だし、ネットでは知りえない情報まで入手できる。そういう意味では価値はありますよね。

桂川 あと、お客様は「人」につくって事ありません?例えば美容師さんって指名しますよね。小売りサービスでは過去にはカリスマ店員とかがいたり。でもその価値観って絶対残ると思うんですよ。僕がamazon goに入れなかった時は機能的に人が必要だったんですけど、逆にエモーショナルな部分で人がいることの価値観はあるとは思うので、イコール対人での接客サービスっていうのは残るんじゃないかな?

学生B ちなみに実際amazon goへ行って体験してみて、もう一度その店に行きたいなって思いましたか?

桂川 対人接客の経験がよかったからもう一度行きたいという理由ではないんですけど…また行きたいです!本当に便利でした!オフィスビルの地下にあって、サラリーマンがさっと昼食を買いに来て…時間も有効活用してるし凄くスマート!

後藤 だからコンビニとかはOMOの仕組みは合ってると思います。無人だったりキャッシュレスだったりっていうのは相性がいいので。ただ、ブランド力を上げなきゃいけない、付加価値を上げなきゃいけないというような企業は、体験と取り入れたリアル店舗を大切にしているんだと思います。

これからの小売りに大切なのは「LTV(ライフタイムバリュー)」

学生A 結局体験型の店舗にお客さんが訪れても、一回じゃ意味がないというか…また来たいと思わせなきゃいけないと感じるんです。それが難しいな、と。

後藤 全部が全部体験店舗になるとは思わないんですよね。そういった店舗が集まっているのもNYでも本当に都心の一部だし、日本でやるなら例えば原宿だったり渋谷だったり、ブランディング発信の店舗って位置づけ。今までは坪で店舗の売上を上げることが命題だったんですけど、これからは「LTV(ライフタイムバリュー)」のように、このブランドでどういう風に時間を使ってもらうか、お金を使ってもらうかっていうのを、店舗だけじゃなくて、インターネットもSNSも全部含めて考えるっていう事が大事だと思います。だから一つの店舗で利益を図るっていうのはもしかしたら違うのかもしれない。それよりはブランドにどれだけ興味を持ってもらったかっていう方が重要なのかもしれませんね。もちろん最終的には利益も大事なのですが、ブランドイメージというのは企業の価値なんです。

LTV(ライフタイムバリュー)

長期的に一人の顧客から得られる利益を指標化したもの。生涯価値、寿命価値ともよばれ、一回の購入額に一生涯での購入回数を乗じたりして得る。この値が大きいほど優良顧客となる。

出典 三省堂 大辞林 第三版

学生A じゃあ結局一回店舗に来て、WEBやSNSの閲覧時間が増えるなら最終的にはいいって事になるんですか?

後藤 もちろん全部の店舗がそうなるのは駄目なんですけど、例えばショールーミング店舗とかは実際その店舗自体の売り上げになるわけじゃないですよね。この店舗でいくらの売り上げを上げようっていう設定はしていないんですよ。

桂川 それをやっちゃうと多分赤字になっちゃいますよ。

学生D 今迄みたいに売り場面積あたりの売上とかで考えていくと、体験型店舗を普及させるにあたってはあまりマッチしない指標になってしまうって事ですね。

桂川 ブランドとは何か、そしてそのブランド価値を上げるための活動がブランディング。我々がお客様のブランディングにどう貢献できるかっていうのが我々の使命だと思っています。でも感情的な部分を数値化しようと思っても無理で、感情的なものの曖昧さ。それも面白みだと思ってるんです。なんか変だけど惹かれる人とかっていません?言葉じゃ説明できないけど、なんか好きだなって思ったり。

後藤 人間的な部分。結局そこはAIじゃ補えない部分なんですよね。

学生D その曖昧さがブランド価値になるかもしれない…

桂川 料理とかでも、同じ材料で、同じレシピであっても、作る人によってなんか違った味になる。でもなんかこの人が作る味が好きなんだよなー、っていう。結局その「なんか好き」っていう感情からファン化につながっていくんじゃないかなぁ


リテールテイメントでの体験が人間の情緒を動かす

ますます変化を続けるリテール業界。ジェネレーションZ世代のリアルな行動を知り意見が聞けたことは、大変新鮮で有意義な時間でした。

OMOの普及でリアルな価値もどんどん変化することでしょう。私たちは”リアル”の可能性を信じ続けます。私たち人間がアナログで感情的な生き物である以上、存在し続けるはずです。論理は感情に負ける…リアル店舗という場所はユーザーの”体験”の場として、人間の情緒を揺れ動かす重要な意味をもっていくのではないでしょうか。