パールイデアのクリエイティブに欠かせないクリエイターを紹介するインタビュー企画「クリエイティブの美学」。記念すべき第1回目は、パールイデアでブランドマネージャーを務める岩井 誠(いわい まこと)を紹介します。

これまで、独創的世界観での展示会のプロデュースや、時代を見据えた商品を生み出し続けてきた彼の「クリエイティブの美学」とは?

▲ 岩井 誠 / 1981年 日本大学文理学部哲学科卒業後「自分探しの旅」へ。1984年 パールイデアに入社し、 幅広いジャンルでのデザイン企画や商品開発・販促企画などを経て、現在ブランドマネージャーを勤める。1995年ディスプレイ産業奨励賞、2011年ディスプレイデザイン奨励賞などを受賞。


パールイデアに入社した当初は、マネキンに服の着せ付けをするデコレーターをしていました。デザイナー学校を出たわけではないので、入社前にはデコレーターの先生に弟子入りして基本を学びました。

入社後しばらくデコレーターの仕事をしているうちに、マネキンコーディネートだけではなくて、店頭を飾るVP(ビジュアルプレゼンテーション)の企画提案もするようになりました。またその後には、店頭に飾るオブジェの企画などの商品開発にも携わり、さらには店舗のウィンドーや展示会もやりだして、最終的には店舗デザインまでの一連を経験させてもらいました。

その経験が、弊社のブランドの根幹に関わる、CI(コーポレートアイデンティティ)やVI(ヴィジュアルアイデンティティ)から、さらにはカタログやノベルティなどのブランドを創り上げる今の仕事に通じています。

池に投げ入れたデコレーターという石の波紋が徐々に広がっていった感じで、”すべては今につながっている”と感じます。

1989年 あかりフェスタ – オブジェ【いにしえへの瞑想-MEDITATION-】製作
1996年 パールイデア展示会【羅針盤】 – ブースデザイン
2006年 プロルート丸光 【Small Sweet】 – ショーウィンドーデザイン
2007年 Heritage Stone 原宿店 – 店舗デザイン設計
2011年 ドイツ【Euro Shop 2011】展示会 パールイデアブース – デザイン・総合プロデュース
2013年 パールイデア【ima(イマ)】ブランド総合プロデュース

独創的世界観を構築するインスピレーションの種を紐解く

岩井誠のインスピレーションの扉を開いてみる ・・・
仕事をする上で大切にしていることは何ですか?

即興性。今その時の感性が大切であり、オリジナルだから。

どんなところにやりがいを感じていますか?

かたちにする瞬間瞬間。目に見える形もあるし、目に見えないものもある。 ゼロから生み出すのが仕事だと思っていて、その生み出す瞬間の連続性にやりがいを感じる。

尊敬している or 憧れの人はいますか?

親父、そしてバグワン・シュリ・ラジネーシ。 かなわない純な正直さと実直さ、そしてその存在が。

バグワン・シュリ・ラジネーシ

インドの宗教家、神秘思想家、20世紀の覚者。哲学、仏教、禅、神秘主義思想など、あらゆる精神性の題材を取り上げ、その精髄を現代人の為に簡単に説き明かす。その講話録は650冊以上にものぼり、世界50ヵ国以上で翻訳、出版されている。 

「”バグワン・シュリ・ラジネーシ “」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より。
大事にしているもの・ことは何ですか?

時間のコト。時間が大事なのは当たり前なんだけど、時間って何?と考えたときに、”何かコトをしている間”が時間だと思う。丁寧に生きてるってこと、つまり”コト”を行なっている今という時間を感じながら、今日も生きている。

もっとも影響を受けた本はありますか?

人生に迷っていた20歳の時期に出会った、バグワン・シュリ・ラジネーシ著の『存在の詩』。

最近感銘を受けたできごとは何ですか?

この世にあるものすべてが、言葉をもっている。その言葉をよく見ることが『聞く』ということ。そうやって生きていくと豊かになり、宇宙とつながれる。 葉っぱ(の葉脈まで)をよくみろよ、という昔教えられた言葉を今でも覚えています。

好きな空間を教えて下さい

綺麗な水のあるところ。
あと、2つ部屋を隔てたところあたりにカミさん(=妻)がいる状況。

今、注目していること・ひと・ものはありますか?

人の在りよう。人それぞれの在りようがあり、それぞれに生き方がある。 好奇心をもって、いろんな選択肢を知ることが、自分の生き方の引き出しになると思うから。それが即興力につながる。

休日の過ごし方は?

色んなルーティーンの中、いかに自由を獲得するか試行錯誤し、一日の終わりにサウナにいくこと。 この時間は僕にとってとても大事で、朝起きたときから、サウナにいく自分を想像している。

今いちばんしたいことは何ですか?

繰り広げられるしたいことを、したいままに解放していくこと。 やりたいことは一つじゃない、次々と出てくる。次にしたいことをするために、解放させていく。 使い捨てのようにやっつけではなくて、納得した喜びとともに解放していく。


クリエイティブとは瞬間瞬間をかたちにしていくこと

クリエイティブとは「ima(イマ)」という瞬間瞬間をかたちにしていく、そういう即興性の中でクリエイティブは生まれていくものだと思います。

これまで関わってきた仕事の全てにおいて、その瞬間の感性やインスピレーションを大事にしてきました。そんな自分のクリエイティビティは今後も変わることはないでしょう。

これからも、ima(イマ)というちょっと先の未来をかたちにしていく、「即興的創造」は続いていきます。

1990年 東京に転勤になった頃、名刺として、遊びで作ったもの。気の合うお客様に渡して遊んでました(笑)