プロジェクションマッピングには高価な機材やテクニックが必要というのが一般的な認識です。もっと簡単にプロジェクションマッピングができるなら、表現の幅もさらに広がるはず。
現在、パールイデアでは、産学共同の取り組みとして、プロジェクションマッピングによる新たなマネキン表現に取り組んでいます。
新開発のプロジェクションマッピングシステムとは?
空間演出を手掛ける私たちの現場でも、最近はよくプロジェクションマッピングを使用するようになってきました。デジタルツールにより、従来のVMD手法をさらにバージョンアップさせた空間デザインが可能となってきています。
一方で、マネキンは数十年前からその姿を変えておらず、デジタルと融合させた新たな表現をこれまでずっと模索してきました。
そんな中、「マネキンとプロジェクションマッピングを組み合わせたら、おもしろいのではないか」と考え、今回のプロジェクトが始まりました。
プロジェクションマッピングは、曲面へ投影したりインタラクティブな設定をするにあたって、専用機器を使います。現状の機器は扱いが難しく、制作者の頭を悩ませていました。
そんな課題を解決するため、桜美林大学 杉森教授博士(美術)と、愛知工科大学 永野教授博士(工学)の共同研究により、簡易プロジェクションマッピングを実現する機器が開発されました。これまで困難だった自由曲面の計算を瞬時に行い、立体物に合わせた映像を簡単に投影することが可能なマッピングシステムが完成したのです。
そして、私たちパールイデアは、杉森教授、永野教授と今回の産学共同プロジェクトを推し進め、マネキンのプロジェクションマッピングによる新たな表現にチャレンジしました。
愛知工科大学 永野教授インタビュー 「ユーザーにとって本当に使いやすいものを開発したい」
どのようなきっかけで研究が始まり、これからどのような未来を思い描いているのか。愛知工科大学の永野教授にお話しを伺いました。
– 研究のきっかけを教えてください
「同じ大学にいらした杉森先生が取り組んでいるメディアアート作品の制作や研究の中で、「人体のように自由曲面のある立体物にプロジェクションマッピングを行うのは、とても手間が掛かり難しい。もっと誰でも、簡易的に使えるようなシステムを開発できないか」と相談されたのが、今回の研究の始まりでした。」
– 開発の経緯や大切にされたことはありますか?
「杉森先生と共同で国の研究助成金(科研費)を得て、5年ほど開発に苦労しましたがなんとか成功し、現在応用範囲を模索しています。私達は特定の分野のひとだけが使える技術を開発したわけではなくて、皆さんにより広く使用してもらえるものを作りたいと思っています。そして、一番大切にしてきたのは利用者に寄り添うこと。使い勝手が悪いと、どれだけ良い技術でも使わなくてなってしまう。より実用面、使う人の目線を意識して開発してきました。」
– 今後の展望を教えてください
「応用範囲は多く考えられますが、メディアアートや医療分野においてはスタートしました。 今回のマネキン × プロジェクションマッピング技術のコラボレーションは、偶然の出会いからの生まれましたが実際やってみて驚いたのは、立体物に照射することによる、リアルさ。新たな発展の可能性のひとつがリアリティにあると思っています。展示によって新たな要望や出会いがあるのではと、今後の展開がとても楽しみです。 」
マネキンの新たな表現にチャレンジ!
昨年の11月にオープンした新ショールーム“ACTIVE STORE”にて、今回のプロジェクションマッピングシステムを展示しています。
リアル店舗におけるマネキンの役割や表現をデジタル技術によって拡張させ、より楽しいショッピングを演出できる研究をこれからも続けていきます。
今回は、プロジェクションマッピングとマネキンのコラボによる、新たな取り組みのご紹介でした。
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トップアートディレクター。いつまでも好奇心=ワクワクを大切にし、プランニングに反映する。店舗環境にデジタルを+(プラス)していく開発リーダー 兼 オフィスファニチャー開発リーダー。主に映画からヒラメキを得ています。